2007-08-06 Mon 13:51
朝から刺すような日差しが降り注いでいた。
歩道にはくっきりと建物の陰が刻み込まれ、 アスファルトはジリジリと音が聞こえるかと思うほど熱く焼かれていた。 エアコンによって快適な温度に保たれたオフィスからでも 外の暑さは一目見ただけでわかる。 そんな中、会社の窓から見下ろした公園のトラックには、 必死で駆ける高校生たちの姿があった。 猛暑をはね返すように、頼もしくも力強く躍動する姿に、 夏なのだなあと思う一方で、その儚さを憂いでいる自分がいる。 高校生の姿を見ながら、おれは一昨日の早朝のことを思い出していた。 ワンコの散歩に出た時のこと、 半分寝ぼけ頭のおれ目の前に、一匹の蝉(セミ)が落ちてきた。 条件反射するワンコのリードを引きながら、おれは落ちた蝉の姿に見入る。 一心に鳴き通した7日間が、今終わったのだろう。 力尽きたように、ジジッ、っと鳴いて体を震わせたあとは、 もう二度と動くことはなかった。 一昨日は同じ光景を、帰るまでにもう一度、目にした。 よくよく気をつけて見てみると、蝉の羽根はいたるところに落ちている。 羽根以外は、すでに蟻んこが運んでしまったのだろうか。 落ちているのは羽根だけ。それは、終焉のシンボルのように。 梅雨が長引いて、やっと始まった本格的な夏――。 そんな夏も、すでに終わりの時に向いているのだ。 そう思った。 なんでも始まれば終わりの時があるのは当たり前の話で、 季節なんていうのは、それの代表選手みたいなもの。 もっと言うなら、始まる前から終わることがはっきりとしている。 おれの大好きな夏も、毎年やってきては、必ず毎年去っていく。 おれがどんなにそれを嘆いても、悲しんでも、夏は必ず終わる。 そんな儚さを、トラックで走る高校生の姿に思ったのだ。 頼もしく、力強く走る彼らにも、必ず終わりの時はくる。 彼らだって、いつまでも高校生でいられるはずもない。 おれにとってのその時期も、あっという間に過ぎてしまった気がする。 あの頃の自分は、終わりがあることきちんと理解していたはずなのに、 それを知っていて、それでも楽しかったのは何故だろう。 やがて訪れる終わりの時を悲観することなく、 無邪気にはしゃいでいられたのは、どうしてだろう? 昼休みになって公園に行くと、すでに高校生の姿はなかった。 一番暑い時間帯を避けたのだ。それは極めて懸命な措置。 でもおれは、この時間に走るしかない。 走り出すと、やっぱり暑い。――暑い。 それでもおれは日陰を避け、わざと陽の当たるところを選ぶように走る。 刺すような日差しを一身にうけたおれは、 ちっとも頼もしくなく、どう見ても力強くもなく、 ゼイゼイと、ハアハアと、息を切らして無様に走る。 無様に走って、やっとのことで6周を走り終えた。 しかし、これは本当の終わりじゃない。 おれはそのことだって、ちゃんと知っている。 また明日も走る。明後日も走る。その次も、またその次も。 じゃあ、本当の終わりって何だろう? 終わりって、本当にあるのだろうか? 「輪廻転生」という言葉がある。 この考え方から言えば、終わりというものがない。 人は死んだら必ずこの世の何らかの生き物として 生まれ変わっていることになっているのだ。 ある場合、それは蝉だったりすることもあるだろう。 だったら蝉も死んだら、別な何かに生まれ変わるはずだ。 一昨日のあの蝉は、次は何に生まれ変わるのだろうか。 今度は念願叶って、めでたく人間に戻るのか。 それとも、また蝉のままか。 それでは、今年の夏は何かに生まれ変わるのだろうか? 秋――だろうか。それとも冬か? もしかしたら、また来年の夏に生まれ変わるのかも知れない。 終わってしまった夏まつりは、また来年の夏まつにり生まれ変わる? 汗をかいたジョッキのビールは、飲み干したらおかわりに生まれ変わる? 先週見た花火は? カラオケで唄ったあの歌は? 歳をとって、物事の分別がつくようになるまで、 始まりがあれば、終わりは必ずくることを 嫌というほど繰り返してきた。 もう二度と戻ってこない、頼もしくも力強かった日々。 なんの心配もなく、はしゃいでいたあの頃の記憶が そのことを、おれ自身に強烈に知らしめている気がする。 そういう繰り返しの中で、いつしかおれは 終わることばかりを悲観するようになっていた。 今のおれは、始まる前から終わることを憂いでいる。 昼休みが終わって職場に戻ると、 なんとホストコンピュータがダウンしていた。 十数年来の大トラブル発生だ。 会社の大事なライフライン。これでは出荷もできない。 長引けば会社の信用に関わる、重大なトラブル。 プレッシャーが部署内に重くのし掛かる。 もちろん、おれ自身にも。 何時に復旧できる? 何時に帰れる? おれの思いは前回のトラブルの時にフラッシュバックする。 何時に復旧できるのか、何時に帰れるのか――。 今と同じ事を心配した。でも、あの時のおれは若かった。 若いという歳でもなかったかもしれないが、 少なくとも、今のおれよりずっと若かった。息子もまだ小さかった。 時はあっという間に過ぎ去って、ここに今がある。 でも、結局なんにも終わってはいなかった。 あの時と今は、確実に一本の線で繋がっている。 巡るのだ。すべては巡る。 終わりはない。 それは良いことでも悪いことでもなく、 事実として、本当の終わりなんて、本当はないのだ。 長い長い旅のように。 これからも、ずっと続いていく。 日が傾いて、暑さも和らいで風が涼しく吹き始めた。 ホストコンピュータは、7時少し前に復旧した。 <今日の練習内容> (昼ラン) 6.3km(1050mコース6周) ビルドアップ走 TOTAL Time : 24:07.52 LAP SPLIT /km AVE 01 04:25.01 04:25.01 04:12.39 04:25.01 02 04:11.40 08:36.41 03:59.43 04:18.21 03 04:00.66 12:37.07 03:49.20 04:12.36 04 03:59.15 16:36.22 03:47.76 04:09.06 05 03:49.63 20:25.85 03:38.70 04:05.17 06 03:39.71 24:05.56 03:29.25 04:00.93 /km AVE :03:49.45 (/10km :38:14.54ペース) (帰宅ラン) なし。 <今日のデータ> 今日の走行距離 6.3km 今日まで 12.6km 平均 2.1/日 体重 63.0kg 体脂肪率 9.0% |
| 月下独走 |
|
ひろさんって、こんなオッサン。
【 がんばろう 】
'06年6月、10Kmレースで惨敗。
悔しさから「来年は33分台で走る!」ことを宣言。
その過程を記すためにブログを始める。
しかし、一年後のレースでリベンジを果たせず。
'10年2月、青梅マラソン10km40歳台の部において33分30秒で2位。
4年越しでようやく目標達成!
しかし、ここで立ち止まるわけにはいかない。
次の目標は当然、「32分台で優勝する!」
そんなおれも、ついに50歳。
まだまだ俺は進化し続けるぞ!
今年もガンガン、走るぜーイェイ!!
こんなオッサンランナーだけど、
どちらさんもヨロシク~っス♪